睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に1時間あたり5回以上無呼吸や低呼吸が発生し、そのために日常生活に影響を及ぼす状態のことです。代表的な症状は“いびき”で、眠りが浅くなるため、日中に強い眠気や倦怠感を生じることがあります。
放置すると、血管・心臓・脳に大きな負担がかかり、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中の原因となることもあります。
鼻からのどにかけての狭窄が原因で起こるタイプを閉塞型(これがほとんどです)、脳・神経・心臓の病気が原因で、正常な呼吸の指令ができないために起こるタイプを中枢型、両者が混合して起こるタイプを混合型といいます。
閉塞型は狭くなった気道のすき間を空気が通ることで“いびき”が生じます。肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着、あごが十分発育していない小顎症(しょうがくしょう)、扁桃肥大、舌根(ぜっこん)・口蓋垂(こうがいすい)・軟口蓋(なんこうがい)による狭窄など、解剖学的なものがあります。また加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。
女性については更年期以降に多く、閉経によるホルモンバランスの変化も一因とされ最近注目されています。
睡眠時無呼吸症候群は、日中の生活や全身の健康にまで影響します。
いびきがひどい、呼吸が止まる・むせる、息苦しさを感じる、寝相が悪い、寝汗をよくかくなどの症状があります。
いびきは気道が狭くなっているサインです。患者様本人は無自覚であることもあり、周りの方から「大きないびきをかいている」「息が止まっているように見える」と指摘されて受診されるケースもあります。
夜間に呼吸が止まるたびに脳は覚醒反応を起こし、深い眠りが途切れてしまいます。そのため、たとえ長時間眠っていても「熟睡感」が得られず、朝起きたときから疲れが残ります。
日中も強い眠気に襲われやすく、居眠りや集中力低下の原因となります。
運転中の居眠り事故のリスクが高まることも社会的に大きな問題です。
夜間の睡眠が細切れになることで、脳が本来必要とする休息や整理の時間が奪われます。
その結果、仕事や学習での集中力や判断力が落ちるだけでなく、記憶力の低下や抑うつ気分、イライラなど感情の不安定さが現れることもあります。また認知症のリスクを高めるとも報告されています。
睡眠中に繰り返される低酸素状態は、体を「酸素不足のストレス」にさらします。このストレスによって交感神経が常に緊張し、血圧が上昇しやすい状態になります。
さらに動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる疾患のリスクを高めます。
また、心臓に負担をかけ、心機能を低下させ心不全や、その悪化の原因になることが知られています。糖尿病やメタボリックシンドロームとも関連があることが知られており、SASを放置すると全身的な生活習慣病の悪化にもつながります。
成人の睡眠時無呼吸症候群では、高血圧や脳卒中、心筋梗塞が起こる危険性が通常より3~4倍も上昇することが分かっています。特に1時間の睡眠中に無呼吸または低呼吸が30回以上ある“重症”タイプでは、心臓や脳の病気になる危険性が5倍にもなることが明らかになっています。
睡眠時無呼吸症候群は単なる「いびきの問題」ではなく、脳・心臓・血管に負担を与え、長期的には命に関わる病気を引き起こす可能性がある病態です。
検査はご自宅で簡単にできる簡易検査と、精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG検査)があります。簡易検査は手指や鼻下にセンサーを装着し、睡眠中の呼吸などを調べます。
簡易検査は重症例の発見に適しています。当院ではまず簡易検査を行い、必要に応じて、精密検査を手配いたします。
治療には対症療法と根治療法があり、症状の程度や原因に応じて選択します。
代表的な対症療法には、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とマウスピース療法があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、多くの人が単なる「いびき」や「疲れやすさ」として見過ごしてしまいがちな病気です。しかし、実際には放置すると高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの深刻な合併症につながる可能性があり、生活の質を大きく損なうリスクがあります。
一方で、早期に気づき、適切な診断と治療を受けることで状況は大きく変わります。CPAP療法や生活習慣の改善によって、日中の眠気が改善し、生活の質が高まるだけでなく、心血管リスクの低減という医学的なメリットも得られます。
睡眠時無呼吸自体が高血圧や糖尿病の原因となったり、重症度を上げている可能性もあり、そのような疾患をお持ちの方は一度検査されることをお勧めします。
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